「理系の就活は大変そう」と聞いて、不安になる人は少なくありません。
研究や実験と就活を両立しなければならないうえ、自分の専門をどこまで仕事につなげるかも考える必要があります。企業を調べてみると、研究、開発、設計、生産技術など、聞き慣れない職種がいくつも出てきて戸惑うこともあるでしょう。
実際、理系就活には理系ならではの難しさがあり、簡単だとは言えません。
とはいえ、その難しさの多くは、本人の能力だけで決まるものでも、選考当日に高いパフォーマンスを出さなければ対応できないものでもありません。事前に情報を集め、自分の専門と職種の関係を整理し、予定を立てて準備すれば、対応しやすくなる種類の難しさです。
この記事では、理系就活のどこが難しいのかを整理したうえで、最初に何を確認しておけばよいのかを考えていきます。
最初に整理したいこと
- 理系就活には、研究との両立や専門・職種選びなど、理系ならではの難しさがある
- 理系就活で感じやすい難しさの多くは、内定の取りにくさそのものより、事前準備や確認事項が多いことにある
- 専門、職種、企業の募集方法を事前に調べれば、準備の方向は決めやすい
- まずは研究との予定、専門の生かし方、興味のある職種を確認する
理系就活はなぜ難しく感じるのか
理系就活では、研究や実験との両立に加えて、専門と職種の関係まで考える場面があります。そのため、企業選びや予定の立て方が複雑になりやすい面があります。
一つは、学生生活そのものが忙しいことです。研究室に所属すれば実験やゼミ、研究報告などがあり、時期によっては就活だけを優先して予定を組むのが難しいこともあります。
もう一つは、企業と仕事の選び方です。
同じメーカーでも、研究、開発、設計、生産技術、品質保証など、仕事内容はかなり違います。さらに、自分の専攻をそのまま生かすのか、理系で身につけた基礎知識や研究経験まで広げて仕事を探すのかによって、見る企業や職種も変わってきます。
採用の仕組みも企業によって同じではありません。職種を決めて応募する企業もあれば、技術系として採用し、そのあとに配属が決まる企業もあります。募集する職種や条件が年度によって変わる場合もあります。
こうした違いを確認しながら応募先を考える必要があるため、理系就活は複雑になりやすいといえます。
ただし、「複雑であること」と「内定を取ること自体が難しいこと」は、ここで分けて考えたい方がよいでしょう。両者は必ずしも同じではないからです。
難しいポイントが分かれば、何を調べ、どこを準備すればよいのかも見えやすくなります。
研究や実験との両立で、就活に使える時間が読みにくい
理系学生にとって大きな難しさの一つが、就活に使える時間です。
研究室に入ると、実験、ゼミ、研究報告などが重なることがあります。研究内容によっては、自分の都合だけでは日程を動かしにくいこともあるでしょう。
そのため、説明会やインターン、面接の日程を入れようとしたときに、「この週は研究が忙しい」「この日は実験を外しにくい」「ESの締切が重なってしまった」といったことも起こります。
特に、実験や研究室活動の比重が大きい学生は、就活へ使える時間を自由に増やしにくいことがあります。
だからこそ、「できるだけ多くの時間を就活に使う」と考えるだけではなく、忙しくなりそうな時期を先に見ておくことが大切です。
インターンや本選考の時期と、研究が忙しくなりそうな時期を大まかに重ねてみるだけでも、「今のうちに進めておいた方がよいこと」が見つけやすくなります。
専門をどこまで仕事に生かすかで迷いやすい
理系では、大学で学んでいる専門と仕事との関係も考えることになります。
たとえば機械系なら機械設計や生産技術、電気電子系、情報系、化学系にも、それぞれ大学で学んだ内容とつながりやすい仕事があります。
とはいえ、専門に近い仕事だけを探せばよいとは限りません。
専門に近い仕事へ絞るほど仕事内容をイメージしやすくなる一方、見る企業や職種の範囲は狭くなりやすくなります。反対に、大学で学んだ基礎知識や、研究を通して身につけた考え方まで含めて見れば、仕事の選択肢を広げられる場合があります。
ここで迷いやすいのが、「せっかく理系に進んだのだから、専門を生かした方がよいのではないか」という考えです。
もちろん、専門に近い仕事を選ぶのも一つの方法です。専門を生かせることと、自分がその仕事をしたいことは、分けて考えた方がよい場合もあります。
最初から「専門を生かす・生かさない」の二択にするより、専門そのものを生かしたいのか、理系で学んだ基礎や研究経験まで含めて生かしたいのかと考えると、企業や職種を見る範囲を決めやすくなります。
これは理系就活の難しいところですが、自分に合う仕事を探すための手掛かりにもなります。
職種が細かく分かれていて、仕事内容をつかみにくい
企業名や業界だけを見ても、自分が実際にどのような仕事をするのか分かりにくいことがあります。
同じメーカーの技術系でも、
- 研究
- 開発
- 設計
- 生産技術
- 品質保証
- 技術営業
など、さまざまな仕事があります。
研究と開発は名前が近くても役割が異なり、その分け方も企業によって違います。設計と生産技術も、どちらもものづくりに関わりますが、担当する仕事は同じではありません。
だからこそ理系就活では、「どの会社に入りたいか」だけではなく、「その会社でどのような仕事をしたいか」まで見る必要があります。
ここが、企業名を中心に就活を始めると迷いやすいところです。
知っている企業を見つけても、自分が興味を持っている職種を募集しているとは限りません。反対に、これまで知らなかった企業の中に、自分の専門や興味に近い仕事が見つかることもあります。
最初からすべての職種を覚える必要はありませんが、少しでも興味を持った仕事については、「何をする職種なのか」を確認してから企業を見る方が、応募先を考えやすくなります。
企業ごとに募集職種や採用方法が違う
理系就活をさらに分かりにくくしているのが、企業ごとの採用方法の違いです。
職種を指定して応募する企業もあれば、技術系として採用し、そのあとに配属が決まる企業もあります。特定の職種だけを個別に募集していたり、専攻分野を応募条件として示していたりする場合もあります。
また、同じ企業でも毎年まったく同じ内容で採用するとは限りません。前年に募集していた職種がその年にはなかったり、募集人数や対象となる専攻が変わったりすることもあります。
そのため、「先輩がこの会社に入っているから自分も同じ職種を受けられるだろう」「去年この職種を募集していたから今年もあるだろう」と考えるだけでは判断できません。
企業を見るときは事業内容だけでなく、今年どの職種を募集しているのか、どのような形で応募するのか、自分の専攻や経験がどこにつながるのかまで確認する必要があります。
見る項目が増えるので手間はかかりますが、逆にいえば、ここを確認することで「入社したい企業」と「実際に応募できる仕事」とのズレを減らせます。
それでも、理系就活は準備の方向を決めやすい
ここまで読むと、「やはり理系就活はかなり大変なのでは」と感じるかもしれません。
確かに、研究との両立や職種選び、募集条件の確認など、事前に考えることは多くあります。
一方で、理系就活には準備の方向を決めやすい面もあります。
たとえば興味のある職種が分かれば、その仕事に自分の専門や研究経験がどうつながるかを考えることができます。企業の採用情報を見れば、興味のある職種を募集しているのか、専攻条件があるのかなども分かります。
研究内容について質問される可能性があるなら、自分の研究を専門外の人にも分かるように説明する準備をしておけばよいですし、職種への志望理由を考えるなら、仕事内容と自分の経験との接点を先に整理しておくとよいでしょう。
つまり、理系就活には複雑さがある半面、調べた情報から「何を準備すればよいか」を考えやすいという面もあります。
選考当日に何か特別なことをしなければならないというより、応募する企業や職種を理解し、自分との接点を整理しておくことが選考準備につながります。
もちろん、企業によって選考方法や重視する点は違いますし、準備をすれば必ず内定できるわけではありません。
それでも、
- 自分はどのような仕事を受けるのか
- 企業はその職種でどのような人を求めているのか
- 自分の専門や経験のどこが仕事につながるのか
を確認してから選考へ進めるのであれば、準備する方向はかなり具体的になります。
理系就活は難しくないのではなく、難しいポイントを把握すれば対策を立てやすいのです。
この違いを知っておくと、漠然と不安になるだけではなく、自分が準備できることへ意識を向けやすくなります。
理系就活で最初に確認したい3つのこと
理系就活の難しさを考えると、最初から自己分析やESを完成させることより、まず次の3つを確認しておく方が進めやすくなります。
① 研究と就活の予定を確認する
まずは、自分が就活へ使える時間を大まかに確認します。
研究室の予定を数か月先まで正確に予測する必要はありません。「この時期は研究が忙しくなりそう」「夏休みは比較的動きやすそう」「学会の前は就活へ使える時間が減りそう」といったことが分かれば、予定を考える材料になります。
そのうえで、インターンや本選考が動く時期と重ねてみます。
研究が忙しくなってから慌てて準備するより、余裕のある時期にできることを進めておいた方が、研究と就活の両方を調整しやすくなります。
② 専門をどこまで生かしたいか考える
次に、自分の専門と仕事との距離を考えます。
ここで就職先まで決める必要はありません。
「研究内容にかなり近い仕事をしたい」「専攻は生かしたいが、仕事内容の幅は広く見たい」「専門そのものより、理系で学んだことを生かせる仕事を探したい」といった程度でも、見る企業や職種の範囲は変わってきます。
最初から一つに決めるのではなく、どこまで広げて企業を見るかを考えるための目安として整理しておけば十分です。
企業や仕事を調べていくうちに、考えが変わっても問題ありません。
③ 興味のある職種と募集方法を確認する
最後に、企業名だけではなく職種を見ます。
研究、開発、設計、生産技術などの中から、少しでも興味を持てる仕事をいくつか確認します。
気になる企業が見つかったら、
- その職種を募集しているか
- 職種を指定して応募するのか
- 技術系としてまとめて採用するのか
- 専攻などの応募条件があるか
といった募集情報まで見ておきます。
ここまで確認すると、「何となく理系就活は難しそう」という状態から、「自分は何を調べればよいのか」が少し具体的になります。
最初から正解を決める必要はありません。企業や職種を調べながら、専門の生かし方や興味のある仕事を少しずつ整理していく方が現実的です。
まとめ|理系就活は難しいが、準備で対応しやすい
理系就活には、研究や実験との両立、専門と職種の関係、仕事内容の細かさ、企業ごとの募集職種や採用方法など、理系ならではの難しさがあります。
そのため、「理系就活は簡単だ」と考える必要はありません。
ただ、その難しさの多くは、選考そのものが特別に難しいというより、就活を進める前に確認し、考えておくことが多いところにあります。
自分が就活へ使える時間を確認する。専門をどこまで生かしたいか考える。興味のある職種と企業の募集内容を調べる。
こうした準備を進めると、自分がどの企業を見ればよいのか、選考に向けて何を準備すればよいのかも見えてきます。
理系就活は難しい部分がある一方で、難しいポイントを把握すれば、対策へ落とし込みやすい就活でもあります。
「難しそうだから不安」と考えるだけで終わらせず、まずは自分が確認できるところから準備を始めましょう。それが、理系就活を進める最初の一歩になります。
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