企業を探し始めたものの、候補を絞れず手が止まることがあります。企業数が多く、調べても違いが分からないまま、名前を知っている企業やランキング上位の企業だけを見てしまうこともあるでしょう。
このようなときは、企業を見すぎているのではなく、見る順番が決まっていない可能性があります。企業名から探し始めると、年収、知名度、福利厚生などの目につきやすい情報が増える一方で、自分が何を重視したいのかは見えにくいままです。
企業選びは、良さそうな会社を探し続ける作業ではありません。業界や職種を知り、自分の基準を作ったうえで、候補を調べて少しずつ絞っていく作業です。
この記事では、理系の企業選びを進める順番を6つのステップに分けて紹介します。最初からすべてを決めるのではなく、各段階で仮の方向性を置きながら進めてみてください。
この記事で判断できること
- 企業名から探し始めると、候補を絞りにくくなる理由
- 業界・職種・判断基準を整理してから企業を見る順番
- 企業研究で集める情報を、自分の判断につなげる方法
- 候補企業の比較から、仮の優先順位をつけるまでの流れ
企業名から探し始めると迷いやすい理由
企業選びを始めると、就職人気ランキングを見る、おすすめ企業を調べる、知っている会社の採用ページを開くといった進め方になりがちです。
企業を知るきっかけとしては問題ありませんが、判断基準がないまま企業名から探し始めると、候補を増やすだけで終わることがあります。
判断基準がないまま情報だけが増える
たとえば、A社は年収が高い、B社は福利厚生が整っている、C社は安定しているという情報を集めても、自分が何を優先したいのかが決まっていなければ、どの企業を残すべきか判断できません。
仕事内容を重視したいのか、勤務地を優先したいのか、安定した環境を求めるのかによって、同じ情報でも見え方は変わります。
基準がないまま情報を集めると、知名度が高い、周囲も受けている、ランキング上位に入っているといった理由で候補を選びやすくなります。外から見える評価だけでは、自分に合う企業かどうかまでは分かりません。
知名度やランキングだけでは候補を決められない
学生に知られている企業が、必ずしも自分に合うとは限りません。一般消費者向けの商品を扱う企業は名前を知る機会が多い一方で、企業向けに素材、部品、装置、システムを提供する会社は、技術力が高くても学生には知られていないことがあります。
知っている企業だけで候補を作ると、本来は自分に合っていた会社を、調べる前に外してしまう可能性があります。
そのため、最初から特定の企業を選ぶのではなく、業界、職種、判断基準の順に方向性を作り、その後で企業名を見る方が候補を整理しやすくなります。
理系の企業選びを進める6つのステップ
企業選びでは、次の順番で進めると、各段階で何を考えればよいかが分かりやすくなります。
- 業界を広く見て選択肢を知る
- 職種から仕事内容を考える
- 企業を選ぶ基準を決める
- 判断に必要な企業情報を集める
- 同じ項目で候補企業を比較する
- 仮の第一志望を置く
すべてのステップを完璧に終わらせてから次へ進む必要はありません。企業を調べる中で新しい気づきがあれば、前の段階へ戻って考え直しても問題ありません。
STEP1|業界を広く見て選択肢を知る
最初の段階では、自分に合う業界を一つに決めるのではなく、どのような選択肢があるのかを把握します。
理系の就職先には、完成品メーカー、部品メーカー、素材メーカー、装置メーカー、IT、インフラ、建設、技術商社などがあります。同じ専攻でも、複数の業界で知識や経験を活かせることがあります。
最初から「この業界しか見ない」と決めるより、まずは知らない業界を減らしていきましょう。各業界が何を作り、どのような顧客へ価値を提供しているのかを簡単に確認し、興味を持てそうな分野と、現時点では違うと感じる分野に分けます。
この段階では、強い志望理由まで作る必要はありません。「もう少し知りたい」「今のところ優先度は低い」という仮の分類ができれば、次へ進めます。
メーカーの選択肢を広く確認したい人は、理系メーカー業界マップも参考になります。
STEP2|職種から仕事内容を考える
業界を広く見たら、次に職種の違いを確認します。
同じ企業でも、研究開発、設計、生産技術、品質保証、評価解析、技術営業など、職種によって日々の仕事や働く場所は異なります。会社としては魅力的でも、自分が希望する仕事に就けなければ、入社後に違和感が生まれるかもしれません。
最初から一つの職種へ決め切らなくても構いません。研究や実験に近い仕事をしたいのか、設計によって製品を形にしたいのか、製造現場に近い位置で改善に取り組みたいのかという程度の方向性から考えます。
職種を見るときは、次のような点を確認してみてください。
- どのような作業に時間を使う仕事か
- 一人で集中する場面と、人と調整する場面のどちらが多いか
- 自分の専攻や経験を活かせそうか
- 興味を持って続けられそうな仕事か
- 希望する職種へ配属される可能性があるか
気になる仕事内容を2〜3種類に絞れると、企業説明会や採用ページで見るべき部分も分かりやすくなります。
職種ごとの違いがまだ曖昧な人は、理系職種の違いで仕事内容を確認してみてください。
STEP3|企業を選ぶ基準を決める
業界や職種の方向性が少し見えてきたら、企業を残すか外すかを判断する基準を考えます。
基準がないまま企業を見ると、知名度、年収、ランキングなど、目につきやすい条件に判断を引っ張られやすくなります。
最初は、すべての理想条件を並べるのではなく、外すと後悔しそうな条件を少数に絞ります。
たとえば、次のような条件です。
- 希望する仕事内容に関われる
- 特定の地域で働ける
- 転居を伴う転勤を避けられる
- 一定の働き方を維持できる
- 身につけたい経験や専門性につながる
「勤務地」「仕事内容」「働き方」といった項目だけでなく、なぜその条件を重視するのかまで考えてみてください。理由が分かると、条件をどこまで緩められるかも判断しやすくなります。
譲れない条件が少数でも見えてくれば、候補企業を残すか外すかを考えられるようになります。
判断軸を詳しく作りたい人は、理系の企業選びの基準で、仕事内容、配属、成長環境、働き方などの考え方を確認できます。
STEP4|判断に必要な企業情報を集める
企業研究では、情報量を増やすことより、自分が判断するために必要な情報を集めることが大切です。
たとえば、勤務地を重視するなら、主な配属先や転勤制度を確認します。仕事内容を重視するなら、職種別の業務、新入社員が担当する仕事、配属の決まり方を調べます。働き方を重視するなら、残業時間、休日、勤務制度などを見ます。
すべての企業について、売上、沿革、福利厚生、口コミなどを同じ深さで調べる必要はありません。自分の判断基準と関係のある情報から確認しましょう。
企業を調べるときは、次の3点に分けて記録すると進めやすくなります。
- 自分の希望と合っている点
- 気になる点
- まだ確認できていない点
情報が見つからない場合も、「分からない」と記録しておけば、説明会や選考で確認する質問になります。
応募する可能性があるかを判断できる程度に情報がそろえば、次の比較へ進みます。企業情報の調べ方や情報源を詳しく知りたい人は、理系の企業研究を確認してみてください。
STEP5|同じ項目で候補企業を比較する
企業を1社ずつ見ているだけでは、それぞれの良い点ばかりが目に入り、違いを判断しにくくなります。
候補企業が集まったら、仕事内容、配属・勤務地、働き方、成長環境など、自分が重視する項目で3〜5社を並べてみましょう。
たとえば、次のように違いを整理します。
- A社は設計職として採用されるが、勤務地の範囲が広い
- B社は勤務地が希望に合うが、入社後に職種が決まる
- A社は若手から幅広い仕事を経験しやすい
- B社は研修制度が整い、一つの専門性を深めやすい
同じ項目で並べると、「どの会社が優れているか」ではなく、「どの条件を優先するなら、どの企業が合いそうか」を考えやすくなります。
企業ごとの違いを自分の言葉で説明できる状態になれば、比較は十分に進んでいます。比較表の作り方や違いの整理方法は、理系の企業比較のやり方で詳しく紹介しています。
STEP6|仮の第一志望を置く
比較した後は、現時点で最も応募したいと思える企業を仮の第一志望に置きます。
この段階で、入社する会社を最終決定する必要はありません。説明会、インターン、面接、社員とのやり取りを通して、新しい情報が得られれば順位は変わります。
仮の優先順位を置く目的は、選考を進める中で確認したいことを明確にするためです。
たとえば、A社を仮の第一志望にしたものの、勤務地に不安が残っている場合は、説明会や面接で配属制度を確認します。B社は仕事内容に魅力を感じているものの、働き方が分からない場合は、その部分を追加で調べます。
現時点の順位と、その理由を簡単に言葉にできれば十分です。企業研究や選考を進めながら、違和感があれば見直していきましょう。
各ステップは、どこまで進めればよいか
企業選びで止まりやすい人は、各工程を完璧に終わらせてから次へ進もうとしていることがあります。
しかし、業界や職種についてすべて理解してから企業を探す必要はありません。仮の方向性を作り、企業を見る中で修正していく方が現実的です。
| ステップ | 次へ進む目安 |
|---|---|
| 業界 | 興味がある分野と、優先度が低い分野を仮に分けられる |
| 職種 | 気になる仕事内容を2〜3種類に絞れる |
| 判断基準 | 外すと後悔しそうな条件を少数挙げられる |
| 企業研究 | 応募する可能性があるか判断できる |
| 企業比較 | 企業ごとの違いを自分の言葉で説明できる |
| 仮の第一志望 | 現時点で優先したい企業と理由を言葉にできる |
判断基準や順位は、途中で変わっても問題ありません。企業を知ったことで考えが変わったのであれば、その理由を確認し、現在の自分に合う基準へ直していきます。
一人で進めにくいときは、人に相談して考えを言葉にする
企業について調べても、何を重視したいのか、どこで迷っているのかを言葉にできないことがあります。その場合は、情報をさらに増やす前に、大学のキャリアセンター、研究室の先輩、OB・OGなどへ相談する方法があります。
相談相手に応募先を決めてもらうのではなく、自分の考えを言葉にするために利用します。「仕事内容と勤務地のどちらを優先するか迷っている」「候補企業の違いを説明できない」と伝えるだけでも、考えるべき点が見つかることがあります。
応募先を広げられない、現在の状況に合う企業が分からない、企業選びに使える時間が少ないという場合は、就活エージェントへ相談する方法もあります。利用するか迷う人は、就活エージェントを使うべき人・使わない人で、自分に必要なサービスかを確認してみてください。
まとめ|企業選びは、順番に候補を絞る作業
理系の企業選びは、企業名から探し始めるより、業界、職種、判断基準の順に方向性を作り、その後で候補企業を調べて比較する方が進めやすくなります。
基本となる順番は次のとおりです。
- 業界を広く見て選択肢を知る
- 職種から仕事内容を考える
- 企業を選ぶ基準を決める
- 判断に必要な企業情報を集める
- 同じ項目で候補企業を比較する
- 仮の第一志望を置く
最初から業界や職種、第一志望を確定する必要はありません。各段階で仮の答えを置き、企業について知る中で見直していけば大丈夫です。
企業選びで迷ったときは、さらに企業を増やすのではなく、今どのステップで止まっているのかを確認してみてください。次に取り組む作業が分かれば、候補を一つずつ絞っていけます。
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複数の企業を同じ項目で並べ、仕事内容、配属、働き方などの違いを整理する方法を紹介しています。企業研究まで進んだものの、どの候補を優先すればよいか決められない人に向いています。
理系の第一志望の決め方
企業ごとの違いが見えてきた後に、どの企業を第一志望として考えるかを整理しています。仮の順位はつけられたものの、最終的な優先順位を決められない段階で確認してみてください。
理系の企業選びの基準
仕事内容、配属、成長環境、働き方など、企業を見るときの判断軸をまとめています。候補企業はあるものの、何を基準に残すか決められない人に向いています。
理系の企業研究
事業内容、仕事内容、勤務地、配属など、応募前に確認しておきたい情報と調べ方を紹介しています。企業名は見つかっているものの、どこまで調べればよいか分からない人は、こちらを確認してみてください。
就活エージェントを使うべき人・使わない人
企業選びを自分で進める方法と、就活エージェントへ相談する方がよい状況を整理しています。候補を広げられない場合や、一人では判断基準を言葉にできない場合に参考になります。






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