AIを使えば、ESの文章を整えたり、自己PRの候補を考えたり、面接の練習をしたりできます。しかし、AIが作った文章をそのまま使ってよいのか、どこまで任せてよいのか迷うこともあるでしょう。
AIを使うこと自体が問題なのではありません。ただし、実際にはない経験を書いたり、自分では説明できない志望理由を使ったりすると、面接で説明できず困ることがあります。この記事では、そうした失敗を防ぐために注意したい5つのNG例を紹介します。
就活で避けたいAI活用の5つのNG例
| NG | 避けたい使い方 |
|---|---|
| 1 | 実際にはなかった経験や成果を加える |
| 2 | 強みや志望理由の最終判断をAIに任せる |
| 3 | AIが整えた文章を確認せず使う |
| 4 | ESと面接を切り離して作る |
| 5 | 自分の材料を出さずに完成文だけを求める |
大切なのは、AIに文章作成や比較を手伝ってもらいながら、経験の事実と自分の判断を残すことです。
NG1|実際にはなかった経験や成果を加える
AIで文章を整えると、元の経験よりも立派に見える表現が加わる場合があります。
たとえば、実際には「研究で指定された条件に沿って測定を繰り返し、データのばらつきを調べた」という経験だったとします。ところが、AIが作った文章が次のようになっていたら注意が必要です。
新たな実験方法を自ら確立し、測定精度を30%向上させた。
実際に新しい方法を考案し、数値で効果を確認したなら問題ありません。しかし、指示された条件で測定しただけなら、元の経験とは異なります。研究では、自分が担当した部分と研究室全体の成果を分けて考える必要があります。自分が実際に何をしたのか、成果や数値に根拠があるかを、元の記録と照らして確認しましょう。
防ぐには、AIに頼むときに最初から「書かれていない経験や数値は追加しない」と伝えておくのが効果的です。具体的な頼み方は、AIでESのたたき台を作るときに守るべき3つの条件で説明しています。
NG2|強みや志望理由の最終判断をAIに任せる
AIに強みの候補を出してもらうことはできます。ただし、どの強みを自己PRに使うかは、自分で決める必要があります。
たとえば、実験を繰り返して測定結果を確認した経験について、AIが「粘り強さ」を強みとして提案したとします。しかし、自分が伝えたいのは、条件を一つずつ確かめた「丁寧さ」かもしれません。
どちらも実際の経験から説明できるなら、応募先の仕事内容や自分が伝えたいことを踏まえて、自分で選ぶことが大切です。
志望理由でも同じです。AIが提案した理由が、自分の関心と合っているとは限りません。
AIが出した候補は、実際の経験や関心と合っているかを確認し、なぜその強みや企業を選んだのか、自分で説明できるものだけを残しましょう。
NG3|AIが整えた文章を確認せず使う
AIが作った文章は、読みやすく、文字数もきれいに収まっていることがあります。しかし、文章として自然でも、自分では使わない言葉や、意味を十分に理解していない表現が残る場合があります。
たとえば「多角的な視点から課題を捉え、最適な解決策を導いた」と書かれていても、具体的にどんな視点で考え、何を解決したのか説明できなければ、面接で困ります。
提出前には一度声に出して読み、原稿を見ずに内容を説明してみましょう。意味が曖昧な表現や、自分の実感に合わない言葉があれば、説明できる表現に直します。
NG4|ESと面接を切り離して作る
AIでESと面接回答を別々に作ると、同じ経験について説明が食い違うことがあります。
たとえば、卒業研究での取り組みについて、AIがそれぞれ違う内容を補った場合です。
ES:卒業研究で測定手順の改善に約半年間取り組んだ
面接回答:卒業研究で同じ測定手順の改善に1年間取り組んだ
どちらも自然な文章ですが、同じ取り組みについて期間が食い違っています。面接で「どれくらいの期間取り組んだのですか」と聞かれたとき、どちらが正しいのか説明できなくなるかもしれません。期間のほか、人数や結果の数値でも同じことが起こります。
一方、同じ経験でも、自己PRでは「主体性」、ガクチカでは「改善力」を中心に説明すること自体は問題ありません。質問の目的によって、強調する部分が変わるのは自然です。
注意したいのは、説明の切り口が変わることではなく、経験の事実や自分の行動が食い違うことです。
ESをもとに面接準備を進める
ESが完成したら、その内容を土台にして面接で聞かれそうな点を準備すると、説明のつながりを保ちやすくなります。特に、研究や実験の経験では次の点を確認しておきましょう。
- 自分はどの部分を担当したのか
- なぜその方法を選んだのか
- うまくいかなかったときにどう対応したのか
- どのような結果が得られ、何を学んだのか
AIには、ESの内容で説明が不足している点や、面接で詳しく確認されそうな部分を指摘してもらう使い方ができます。回答そのものは自分で考え、実際の経験に沿って説明できるようにしておきましょう。
理系の面接で研究内容や経験をどう伝えるかは、理系の面接対策完全ガイドで詳しく説明しています。
NG5|自分の材料を出さずに完成文だけを求める
AIに完成文を作ってもらうことよりも注意したいのは、自分の経験や考えをほとんど伝えず、文章だけを作らせることです。
たとえば、次のように頼んだ場合です。
メーカーの研究開発職に応募するので、400字の志望動機を作ってください。
AIは、研究開発への意欲や企業への関心を示す文章を作るかもしれません。しかし、本人がなぜ研究開発を希望しているのか、どの技術に関心があるのか、何を仕事にしたいのかが分からなければ、一般的な志望理由になりやすくなります。
その文章を読んで「これでよさそう」と感じても、面接で「なぜ当社の研究開発職なのですか」と聞かれたとき、自分の考えを説明できるとは限りません。
完成文を作る前に、自分の材料を用意する
志望動機をAIで文章にするなら、先に次のような材料を用意します。
- 自分の経験:研究や授業、インターンなどで何に取り組んだか
- 自分の関心:どんな技術や仕事に興味があるか
- 企業との接点:自分で確認した事業内容や仕事内容のどこに魅力を感じたか
材料がそろっていれば、AIに文章の構成を考えてもらったり、指定文字数に収めてもらったりできます。
まだ志望理由がはっきりしていない場合は、無理に完成文を作る必要はありません。AIに不足している情報を質問してもらい、自分の考えをはっきりさせるところから始めてもよいでしょう。自己PRやガクチカでも考え方は同じで、経験や考えがある程度まとまった段階でAIに文章化を手伝ってもらえば、自分の意図を残しやすくなります。
AIを使ったあとに確認したい3つのこと
5つのNG例を毎回すべて思い出す必要はありません。ESや面接準備でAIを使ったあとは、次の3点を確認しましょう。
| 確認すること | チェックするポイント |
|---|---|
| 事実 | 実際にはない経験・成果・数値が加わっていないか |
| 判断 | 強みや志望理由を自分で選び、その理由を説明できるか |
| 一貫性 | ESと面接で経験の事実や説明が食い違っていないか |
最後に、AIが作った文章を見なくても、自分の言葉で内容を説明できるかを確かめてください。説明できない部分があれば、文章をさらに整える前に、元の経験や自分の考えに戻って確認しましょう。
なお、研究室の未公開データ、企業の非公開情報、他人の個人情報などを、許可なくAIに入力しないよう注意してください。応募先からAI利用について指示がある場合も、そのルールに従いましょう。
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