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メーカーへの就職を考えるとき、仕事内容や給与だけでなく、残業の少なさを重視したい人もいると思います。
企業の採用情報を調べると、月平均残業時間が10時間前後のメーカーも見つかります。月10時間は、月20日勤務なら1日約30分の計算です。
この記事では、残業時間を公表している企業のうち、理系学生が就職先として検討できるメーカー15社を紹介します。
平均残業時間の比較に加え、各社の働き方や、応募前に知っておきたい注意点も解説します。
残業が少ないメーカー15社を比較
今回紹介する15社の月平均残業時間と主な事業を一覧にしました。
| 企業 | 主な事業 | 月平均残業時間 | 対象年度 |
|---|---|---|---|
| セントラル硝子 | 電子材料・化学・ガラス | 6.9時間 | 2025年度 |
| リンテック | 粘着素材・電子材料 | 8.4時間 | 2025年度 |
| 日本トムソン | 軸受・直動案内機器 | 8時間25分 | 2024年度 |
| 日本曹達 | 化学品・農薬 | 8.9時間 | 2025年度 |
| 東亞合成 | 化学・接着材料 | 9.4時間 | 2025年度 |
| 太陽誘電 | 電子部品 | 9.6時間 | 2025年度(2026年3月期) |
| アンリツ | 通信・電子計測 | 9.8時間 | 2025年度 |
| F.C.C. | 自動車用クラッチ | 10.2時間 | 2024年度 |
| ヤクルト本社 | 食品・医薬品 | 10.6時間 | 2024年度 |
| EIZO | モニター・映像機器 | 11.3時間 | 2025年度 |
| 昭和産業 | 食品素材 | 11.6時間 | 2025年度 |
| 日本化薬 | 化学・医薬品 | 12.0時間 | 2025年度 |
| アイカ工業 | 建材・接着剤 | 12.2時間 | 2024年度 |
| 山陽特殊製鋼 | 特殊鋼・金属材料 | 13.1時間 | 2025年度 |
| オーエスジー | 切削工具 | 13.8時間 | 2025年度 |
※2026年10月21日時点で確認できた公表情報に基づいています。対象年度や集計条件は企業によって異なるため、厳密な順位ではありません。また、全国で残業時間が最も少ない15社という意味ではありません。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2025年の製造業・一般労働者の所定外労働時間は月14.7時間でした(従業員5人以上の事業所)。今回の15社の掲載値はいずれもこれを下回っていますが、対象者や集計方法が異なるため、直接比較はできません。製造業全体のおおよその水準を知る参考値として紹介します。
月10時間未満のメーカー7社
セントラル硝子|電子材料・化学で月6.9時間
セントラル硝子は、電子材料、エネルギー材料、ライフ&ヘルスケア、ガラスなどの事業を展開するメーカーです。
2025年度の月平均所定外労働時間は6.9時間と、今回の15社の中で最も短い数値です。
マイナビの企業情報では、研究開発、工務、生産技術などの技術系職種が紹介されています。
半導体関連の電子材料からガラスまで事業分野が異なり、研究所や工場も複数の地域にあります。
マイナビには、2024年度の平均有給休暇取得日数が20.7日というデータも掲載されています。
出典:マイナビ掲載の企業情報
リンテック|粘着素材・電子材料で月8.4時間
リンテックは、粘着素材、特殊紙、電子・光学関連材料などを開発・製造するメーカーです。
2025年度の月平均所定外労働時間は、マイナビに8.4時間と掲載されています。
身近なラベルやシールに使われる素材のほか、半導体関連テープや光学機能性フィルムなども扱っています。
同社は素材の研究開発に加え、素材を加工する技術や装置開発にも取り組んでいます。
働き方で注目したいのは、事業所による年間休日の違いです。
マイナビの企業情報では年間休日125日とされていますが、熊谷工場・三島工場・小松島工場は113日と案内されています。
出典:マイナビ掲載の企業情報
日本トムソン|軸受・直動案内機器で月8時間25分
日本トムソンは、ニードルベアリングや直動案内機器などを製造する機械部品メーカーです。
2024年度の平均残業時間は月8時間25分でした。
公式のサステナビリティ資料には、次の推移が掲載されています。
| 年度 | 月平均残業時間 |
|---|---|
| 2022年度 | 13時間15分 |
| 2023年度 | 9時間31分 |
| 2024年度 | 8時間25分 |
同社の製品は、産業機械や精密機器などで機械の回転や直線運動を支えています。機械設計、製品開発、生産技術など、機械の精度や動作に関わる仕事があります。
出典:日本トムソン「人的資本」
日本曹達|化学・農薬で月8.9時間
日本曹達は、機能性化学品、農薬、医薬品、基礎化学品などを手がける化学メーカーです。
公式の新卒採用募集要項では、2025年度の所定時間外労働が月平均8.9時間と公表されています。2024年度は8.6時間でした。
同社には、研究開発、製造技術、設備関連などの技術系職種があります。
研究所では化学物質や農薬などの研究開発、工場では製造工程や設備に関わる仕事が中心です。
勤務時間は事業所によって異なり、公式募集要項には本社、研究所、工場ごとの勤務時間が掲載されています。
東亞合成|化学・接着材料で月9.4時間
東亞合成は、アクリル、接着材料、無機化学品、高機能材料などを展開する化学メーカーです。
公式採用サイトによると、2025年度の東亞合成単体の平均残業時間は月9.4時間です。
同じ資料には、次のデータも掲載されています。
- 平均勤続年数:18.8年
- 年次有給休暇取得率:93.9%
同社は瞬間接着剤などの身近な製品から、産業向けの化学材料まで扱っています。
研究開発や生産技術、設備技術などの仕事があります。
太陽誘電|電子部品で月9.6時間
太陽誘電は、積層セラミックコンデンサやインダクタなどを製造する電子部品メーカーです。
公式採用情報によると、2026年3月期の月平均所定外労働時間は9.6時間です。
同社では、11時間の勤務間インターバル制度を導入しています。
これは、勤務終了から次の勤務開始までに11時間の休息時間を確保する制度です。
また、採用情報では高崎グローバルセンターや工場、R&Dセンターの勤務時間が8時30分〜17時10分、本社や営業所は9時〜17時40分と案内されています。
積層セラミックコンデンサなどの製品開発には、材料、電気電子、機械などの技術が関わります。
出典:太陽誘電「採用Q&A」
アンリツ|通信・電子計測で月9.8時間
アンリツは、通信・電子計測機器を中心に、食品や医薬品向けの品質保証システムなども扱うメーカーです。
2025年度のアンリツ株式会社の平均時間外労働は、管理職を除く正規従業員で月9.8時間でした。
公式の社会データでは、次の推移が確認できます。
| 年度 | アンリツ株式会社 | 国内グループ |
|---|---|---|
| 2023年度 | 7.5時間 | 8.3時間 |
| 2024年度 | 8.8時間 | 9.3時間 |
| 2025年度 | 9.8時間 | 10.4時間 |
国内グループの平均は、アンリツ株式会社単体より長くなっています。
通信計測事業では、通信機器やネットワークの性能を調べる測定器を開発しており、電子回路、無線通信、ソフトウェアなどの技術が関わります。
出典:アンリツ「社会データ」
月10〜12時間台のメーカー6社
F.C.C.|自動車用クラッチで月10.2時間
F.C.C.は、二輪車・四輪車向けのクラッチを手がける自動車部品メーカーです。
公式採用サイトによると、2024年度の月平均残業時間は10.2時間です。
同社のサステナビリティ資料では、同年度の月平均時間外労働として10.0時間も掲載されています。
働き方の特徴として、毎週水曜日と金曜日の定時退社を推奨しています。
同じ採用サイトには、年間休日118日、2024年度の有給休暇平均取得日数17.8日、取得率90.7%というデータも掲載されています。
製品開発、設計、生産技術などでは、クラッチの性能や製造工程に関わる機械・材料の知識が生かされます。
出典:F.C.C.「働く環境」 / 公式サステナビリティ情報
ヤクルト本社|食品・医薬品で月10.6時間
ヤクルト本社は、乳酸菌飲料や食品のほか、医薬品、化粧品などの事業を展開しています。
公式採用情報によると、2024年度の全社平均残業時間は月10.6時間です。
研究職では微生物や食品などの研究に携わり、工場では製造や品質管理、設備関連の仕事があります。
勤務形態は職場によって異なります。
採用情報では、本店・支店・研究所は9時〜17時30分、工場は8時〜16時30分を基本としています。
工場では生産体制に応じてシフト制や交替勤務があります。 残業時間に加えて、勤務時間帯も確認しておきたいところです。
出典:ヤクルト本社「採用FAQ」 / 募集要項
EIZO|映像表示システムで月11.3時間
EIZOは、モニターを中心とした映像表示システムや映像ソリューションを開発するメーカーです。
公式採用サイトによると、2025年度のEIZO単体の平均残業時間は月11.3時間です。
同じ資料には、次の数字も掲載されています。
- 平均勤続年数:17.7年
- 平均有給取得日数:17.2日
EIZOの製品には、一般的なパソコン用モニターのほか、医療用や産業用など、用途に応じた映像表示機器があります。
製品開発では、回路設計、ソフトウェア、画質調整などの技術が関わります。
出典:EIZO「採用情報」
昭和産業|食品素材で月11.6時間
昭和産業は、小麦粉、植物油、糖化製品、飼料などを扱う食品素材メーカーです。
2025年度の月平均所定外労働時間は、マイナビに11.6時間と掲載されています。
同社の公式非財務情報では、2024年度の月平均所定外労働時間は12.0時間です。
小麦、大豆、菜種、トウモロコシなどの穀物を使い、業務用の食品素材や家庭用食品を製造しています。
研究開発では食品の品質や加工技術に関わり、工場では製造工程や設備の管理に機械・電気系の技術も使われています。
出典:マイナビ掲載の企業情報 / 昭和産業「非財務ハイライト」
日本化薬|化学・医薬品で月12.0時間
日本化薬は、機能性材料、モビリティ安全、医薬品、農薬などを扱うメーカーです。
2025年度の日本化薬単体の月平均時間外労働は12.0時間でした。
公式ESGデータでは、次のように公表されています。
| 年度 | 単体の月平均時間外労働 |
|---|---|
| 2023年度 | 11.2時間 |
| 2024年度 | 11.8時間 |
| 2025年度 | 12.0時間 |
一方、2025年度の連結の月平均時間外労働は16.14時間です。
アイカ工業|建材・接着剤で月12.2時間
アイカ工業は、化粧板、接着剤、建材、機能材料などを展開するメーカーです。
2024年度の月平均所定外労働時間は12.2時間でした。
これは、アイカ工業単体の正規雇用者のうち、管理職を除いた従業員の平均です。
公式の人事労務データでは、次のように推移しています。
| 年度 | 月平均所定外労働時間 |
|---|---|
| 2022年度 | 11.1時間 |
| 2023年度 | 10.6時間 |
| 2024年度 | 12.2時間 |
材料の研究開発や製造技術に関わる仕事があります。
月13時間台のメーカー2社
山陽特殊製鋼|特殊鋼・金属材料で月13.1時間
山陽特殊製鋼は、軸受鋼などの特殊鋼や、金属粉末・粉末成形品を手がけるメーカーです。
2025年度の月平均所定外労働時間は、マイナビに13.1時間と掲載されています。
特殊鋼は、自動車や産業機械などの部品に使われ、強度や耐久性が求められる材料です。
同社は軸受に使われる特殊鋼を主力製品の一つとしており、金属材料の研究開発や製造技術などに関わる仕事があります。
採用では、技術系総合職のほか、製造・検査・設備保全などを担当する職種もあります。職種によって勤務形態が異なる可能性があります。
出典:マイナビ掲載の企業情報
オーエスジー|切削工具で月13.8時間
オーエスジーは、切削工具や転造工具などを製造する工具メーカーです。
2025年度の平均残業時間は、公式採用サイトで13.8時間と公表されています。
同サイトでは、次の勤務条件も案内されています。
- 年間休日:121日以上(営業部門は126日)
- 年次有給休暇取得率:83.1%(2025年度)
- フレックスタイム制度:あり(一部部門を除く)
金属を加工するための工具は、自動車、航空機、産業機械などの製造工程で使われています。
研究開発では、材料の特性、加工精度、摩耗などに関する技術が求められます。
平均残業時間を比べるときの3つの注意点
1.残業時間の数え方と集計対象が違う
企業の採用情報では、「平均残業時間」「所定外労働時間」「時間外労働時間」などの表記が使われています。
所定外労働は、会社が定めた勤務時間を超えて働いた時間です。一方、法律で定められた原則1日8時間・週40時間を超える労働は、法定時間外労働と呼ばれます。
例えば、所定労働時間が1日7時間30分の会社で8時間働いた場合、定時を30分超えて働いたことになりますが、法定労働時間の8時間は超えていません。
企業が公表する「時間外労働」の数え方や対象者は統一されていないため、採用サイトや資料の注記も確認しておきましょう。企業単体の数字なのか、グループ会社を含む数字なのか、管理職を含むのかも、比べるときのポイントです。
今回のアンリツや日本化薬でも、単体とグループの数字に違いがありました。
月平均残業時間が1〜2時間違うだけで、どちらが働きやすい企業かを判断することはできません。
2.同じ企業でも年度によって変わる
平均残業時間は、企業の状況によって年度ごとに変わります。
今回紹介した日本トムソンでは、2022年度の13時間15分から2024年度の8時間25分へ短くなっています。
一方、アンリツや日本化薬、アイカ工業では、直近の公表年度で残業時間が増えていることが分かります。
残業時間が少ない企業を調べるときは、直近の数字に加えて、過去2〜3年間の推移も見ておくと参考になります。
3.会社全体の平均と配属先の残業時間は違う
理系学生が特に意識したいのが、会社全体の平均と、実際に働く部署の違いです。
同じメーカーでも、仕事によって忙しくなる場面が異なります。
| 職種・部門 | 忙しくなる場面の例 |
|---|---|
| 研究開発 | 実験・評価が集中する時期 |
| 製品設計 | 設計変更や開発の締め切り前 |
| 生産技術 | 新設備の導入・生産ライン立ち上げ |
| 製造 | 生産量の増加・交替勤務 |
| 技術サービス | 顧客先での装置トラブルへの対応 |
これらは一般的な例であり、特定の職種が必ず長時間労働になるという意味ではありません。
また、月平均10時間でも、毎月ほぼ10時間なのか、繁忙期に残業が集中するのかで実際の生活は変わります。
希望する職種の残業時間や繁忙期については、採用説明会や社員との面談などで質問してみるとよいでしょう。
気になるメーカーが見つかったら働き方を詳しく調べる
15社の中に興味のある企業が見つかったら、仕事内容、配属先、勤務地、年間休日、有給休暇の取得状況なども調べてみましょう。
会社全体の平均残業時間が少なくても、希望する仕事や勤務地が自分に合うかは別の問題です。
【理系の企業研究】では、会社・事業、仕事内容・配属、待遇・働く環境の調べ方を解説しています。
先輩の口コミも参考にする
平均残業時間だけでは分からない職場の雰囲気や働き方を調べる方法の一つが「就活会議」です。
就活会議では、企業で働いた人の口コミなどを確認できます。研究開発や生産技術など、希望する仕事に関する口コミが掲載されていれば、働き方を考える参考になります。
ただし、希望する部署の口コミが必ず見つかるとは限りません。また、口コミは個人の経験に基づくもので、部署や時期によって実際の状況が異なることがあります。
公式の採用情報と照らし合わせながら、判断材料の一つとして使いましょう。
就活口コミサービス「就活会議」残業が少ないメーカーをもっと探すには
採用サイトや企業情報から探す
自分で探す場合は、企業の採用サイトにある「働く環境」「福利厚生」「数字で見る会社」などのページが手がかりになります。
サステナビリティやESG情報、人的資本に関する資料に、平均残業時間や有給休暇の取得状況が載っていることもあります。マイナビなどの就活情報サイトでも、企業ごとの「月平均所定外労働時間」を確認できる場合があります。
興味のある業界や職種の企業から、残業時間を公表している会社を比べていくと、今回の15社以外の候補も見つけやすくなります。
自分で探しても候補が足りない場合
希望する地域、職種、残業時間などの条件を組み合わせると、応募したい企業が十分に見つからないことがあります。
その場合は、就活エージェントから企業を紹介してもらう方法もあります。
就活エージェントは、取引のある企業の求人から、学生の希望に合う企業を提案するサービスです。
ただし、エージェントが必ず残業の少ないメーカーを紹介できるわけではありません。
利用する場合は、希望する地域や職種に加え、働き方の条件に合う求人があるかを最初に確かめておくと安心です。
自分で企業を探す方法と、エージェントから企業紹介を受ける方法は、【企業が見つからない理系学生へ】で詳しく説明しています。
今回の15社も参考に、残業時間だけでなく、仕事内容や勤務地も含めて自分に合うメーカーを探してみてください。

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