企業を探しを始めると、理系の場合候補が増え過ぎることがあります。
メーカーだけでも自動車、機械、化学、電機、半導体、医療機器など多くの業界があり、同じ会社の中にも研究開発、設計、生産技術、品質保証などさまざまな仕事があります。
さらに、給与、勤務地、転勤、残業、企業規模、事業の安定性なども気になり始めると、
「何から見ればいいのだろう」
「調べるほど決められなくなってきた」
という状態になりやすくなります。
企業選びが難しく感じたときは、一度に考えようとせず、作業を分けて考えてみると良いでしょう。
企業選びは、大きく4つの作業に分けて考えると整理しやすくなります。
探す=候補を集める
基準=何を見るかを決める
研究=その会社について調べる
比較=調べた会社同士を比べる
この4つを一通り終えたあとには、比較した内容をもとに「どこを優先するか」を決める段階が続きます。
まずは、その手前にある4つの作業から順に見ていきます。
今の自分がどこで止まっているのかによって、次にすることも変わります。
| 今の状態 | 次にすること |
|---|---|
| 気になる企業があまり見つからない | 候補を探す |
| 条件が多く、何を重視すればよいか分からない | 重視する基準を決める |
| 気になる企業はあるが、中身がよく分からない | 企業の中身を研究する |
| 複数社を調べたが、違いを整理できない | 比較の方法を知る |
この記事では、この4つの流れから企業選び全体を整理します。
それぞれの具体的な方法は、必要な段階で詳しい記事へ進めるようにしています。
理系の企業選びは「探す・基準・研究・比較」で整理する
企業選びでは、最初から「入社する一社」を決める必要はありません。
まず候補を知り、その後に自分の基準を作り、会社について調べ、最後に同じ条件で比べます。
| 段階 | すること | 次へ進む目安 |
|---|---|---|
| 探す | 候補企業を集める | 詳しく調べてみたい企業がいくつか見つかった |
| 基準 | 企業を見るときに何を重視するか決める | 譲れない条件や重視することを説明できる |
| 研究 | その会社について判断に必要な事実を調べる | 自分の基準に必要な情報がある程度集まった |
| 比較 | 調べた企業を同じ基準で比べる | 各社の違いと、自分が迷っている理由を説明できる |
この4つを分ける理由は、それぞれでやることが違うからです。
候補企業がほとんどないのに比較を始めても選択肢が広がりません。
逆に、企業をたくさん知っていても、自分が何を大切にするか決まっていなければ選べません。
企業研究を十分にしないまま比較すると、知名度やイメージだけで判断しやすくなります。
今の自分に足りない作業から進めることが、企業選びを整理する基本です。
1.探す|まず候補企業を集める
最初の「探す」では、良い会社か悪い会社かを細かく判定する必要はありません。
まずは、
「この会社をもう少し詳しく調べてみたい」
と思える企業を増やします。
ここで注意したいのは、知っている会社だけから選ばないことです。
就活を始めた段階では、普段から商品名や会社名を見る企業ほど候補に入りやすくなります。
一方、部品、材料、製造設備、計測機器などを企業向けに提供するBtoB企業は、技術力や事業の強みがあっても、日常生活で会社名を見る機会が少ないため、調べる前の段階で候補から漏れやすくなります。
反対に、「有名だから」という理由だけで候補に入れても、自分が実際に担当する仕事や勤務地が希望と合うとは限りません。
だからこそ最初の「探す」では、知名度だけで絞るのではなく、地域・技術分野・働き方・企業タイプなど、複数の入口から候補を広げることが大切です。
| 探し方 | 見つけやすい企業 |
|---|---|
| 業界・技術分野から探す | 機械、化学、半導体、医療、電機など |
| 地域から探す | 愛知、大阪など希望地域の企業 |
| 働き方・条件から探す | 転勤、残業、勤務地などを重視した企業 |
| 企業タイプから探す | BtoB、隠れ優良企業、中堅・有力メーカーなど |
業界全体から候補を広げたい場合は、
具体的な企業をまず見てみたい場合は、
知名度だけでは見つけにくい企業を探したい場合は、
などから候補を広げられます。
地域を重視する場合は、
のような地域別の記事から探す方法もあります。
働き方から探すなら、
のような条件別の記事も候補探しに使えます。
この段階で重要なのは、企業を決めることではありません。
「詳しく調べてみたい企業」がいくつか見つかれば、次へ進んで構いません。
自分で探しても企業候補が足りない場合
業界マップや企業一覧を見ても、希望する地域・職種・働き方に合う企業が十分に見つからないこともあります。
その場合は、大学の求人やキャリアセンターを確認するほか、就活エージェントが扱う求人から企業を提案してもらう方法もあります。
ただし、紹介されるのはエージェントが取引している企業の求人に限られます。希望条件に合う企業を紹介してもらえるかを確認し、自分で探した企業と比較しながら利用するか判断しましょう。
企業紹介を受ける方法やサービスの選び方は、【企業が見つからない理系学生へ】で詳しく説明しています。
2.基準|何を見るかを決める
候補企業が増えても、
「結局どの会社を選べばいいのか」
と迷うことがあります。
ここで必要になるのが、自分の企業選びの基準です。
企業を見ていると、
- 給与
- 勤務地
- 転勤
- 仕事内容
- 企業規模
- 安定性
- 残業
- 休日
- 製品や技術への興味
など、多くの条件が出てきます。
すべてを最高水準で満たす会社を探そうとすると、企業選びは進みにくくなります。
また、知名度や就職人気だけを基準にすると、
「A社とB社なら、社会的にどちらが上か」
という比較になり、自分に必要な条件から離れてしまうこともあります。
そこで、条件の重さを分けます。
①企業として受け入れられない一線
②自分にとって譲れない条件
③できれば満たしたい条件
④気になる点として受け入れられる範囲
たとえば、
「転居を伴う転勤は避けたい」
が譲れない人もいれば、
「転勤は多少あっても、仕事内容を優先したい」
という人もいます。
どちらが正しいということではありません。
大切なのは、
自分は何を理由に企業を選びたいのか
を整理することです。
企業を見る基準の作り方は、
で詳しく整理しています。
3.研究|その会社について調べる
基準ができたら、候補企業について調べます。
企業研究というと、
「その会社についてできるだけ詳しく調べること」
と思われがちですが、すべての情報を集める必要はありません。
目的は、
自分がその会社を判断するために必要な事実を集めること
です。
たとえば勤務地が譲れないなら、全国の事業所をすべて覚えるより、自分が配属される可能性のある場所と転勤範囲を確認する方が重要です。
仕事内容を重視するなら、会社がどんな製品をつくっているかだけではなく、
「自分が入社したら、どの仕事を担当する可能性があるか」
まで確認します。
企業研究では、大きく次の3つを見ると整理しやすくなります。
| 調べるもの | 主に確認すること |
|---|---|
| 会社・事業 | 何で稼ぎ、何が強い会社なのか |
| 仕事内容・配属 | 自分が入社後に何をする可能性があるか |
| 待遇・働く環境 | 自分が無理なく働き続けられそうか |
ここで大切なのは、確認できた事実と自分の判断を分けることです。
たとえば、「技術系総合職で採用され、入社後に配属が決まる」は確認できた事実です。
一方、「研究開発を希望しているので、配属が決まっていないことが気になる」は、その事実を見た自分の判断です。
分からないことは無理に推測せず、「未確認」として残して構いません。
何をどこまで調べればよいかは、
で詳しく整理しています。
4.比較|調べた会社同士の違いを見る
複数の企業について調べたら、同じ条件で並べて比較します。
ここでの目的は、
「どちらの会社が上か」を決めることではありません。
企業の良し悪しに、すべての学生に共通する順位があるわけではないからです。
給与を重視する人もいれば、勤務地を優先する人もいます。
仕事内容を重視する人もいれば、安定性を重視する人もいます。
企業比較では、
自分が大切にしている条件に対して、各社がどう違うか
を見ます。
まず企業研究で確認した事実を、同じ項目にそろえて並べます。
そのうえで、
この違いは、自分にとって重要なのか
を考えます。
たとえば、A社の給与が少し高くても、自分にとって勤務地の違いの方が重要なら、単純にA社の方が良いとは決まりません。
また、○や△の数だけで順位を決める必要もありません。
自分にとって譲れない条件を一つ満たしていないことが、細かな長所より大きな意味を持つ場合もあります。
企業比較の具体的な方法は、
で整理しています。
4つは順番どおりに一度だけ進む必要はない
「探す→基準→研究→比較」と聞くと、順番どおりに一度進めれば終わりのように見えるかもしれません。
実際の企業選びでは、前の段階へ戻ることがあります。
たとえば、企業比較をして、
「B社だけ配属制度がよく分からない」
と気づいたなら、企業研究へ戻って確認します。
企業研究をしている途中で、
「思っていた以上に勤務地を重視している」
と気づいたなら、企業選びの基準を修正します。
基準を見直した結果、
「今まで見ていなかった地域の企業も候補にできそうだ」
と思ったなら、再び企業を探します。
探す → 基準 → 研究 → 比較
だけではなく、
比較 → 研究
研究 → 基準
基準 → 探すと戻っても構いません。
企業選びの途中で考えが変わること自体は問題ではありません。
大切なのは、
なぜ考えが変わったのかを自分で説明できること
です。
調べるほど自分の考えが具体的になり、基準が変わることもあります。
最初から完璧な答えを決めるのではなく、情報を増やしながら調整していきます。
迷ったときは、原因を切り分ける
企業選びで迷ったときは、
「自分には企業を見る目がない」
と考えるより、まずどの段階で止まっているのかを、最初の表に立ち返って確認してみてください。
たとえば、
「A社もB社も良く見えて決められない」
という悩みでも、原因は一つではありません。
何を重視するか決まっていないなら、比較を続けるより基準へ戻った方がよいでしょう。
比較したいのに配属や勤務地が分からないなら、企業研究が不足しています。
企業そのものをほとんど知らないなら、もう一度候補を探す方が先です。
何が足りないから止まっているのかが分かれば、次にすることも決めやすくなります。
ここまでの企業選びを一つずつ進めようとすると、「調べることが多い」「企業選びだけでも時間がかかる」と感じることもあります。
企業選びだけでなく、自己分析やES、面接など就活全体の作業量が負担になっている場合は、減らせる作業やAI・人に頼れる部分から整理してみてください。
比較までできたら、次は優先順位を決める
企業を探し、自分の基準を作り、会社について調べ、複数社の違いまで整理できても、
「A社とB社のどちらを第一志望にするか」
で迷うことはあります。
ここまで来たら、候補探しや企業研究を最初からやり直す必要はありません。
各社の違いと、
自分が何を理由に迷っているのか
まで分かっているなら、企業選びは次の段階へ進めています。
あとは、
- 何を最も優先するのか
- 気になる点をどこまで受け入れられるのか
- 最終的にどの企業を優先するのか
を考えます。
比較後に第一志望を決める考え方は、
で整理しています。
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