就活を始めると、「自分の大学では、この会社は難しいのではないか」と学歴が気になることがあります。
特に大手企業や人気企業の採用実績を見ると、有名大学の名前が多く並んでいて、応募する前から不安になることもあるでしょう。
応募者が多い企業では、限られた期間で選考対象を絞る必要があります。その過程で学校歴が判断材料の一つになることもあります。ただ、学歴フィルターそのものを気にし続けても、応募先は決まりません。
そこで理系学生が使いやすいのが、実際の採用実績です。自分の大学から採用されているか、どの学部・研究科から入っているのか、自分と近い専攻の学生が希望する技術職へ進んでいるのか。こうした情報を見ていくと、「自分の大学だから難しい」と考えるだけでなく、どの企業まで候補に入れるかを具体的に考えやすくなります。
この記事では、採用実績校をどのように見て、応募する企業を組み立てればよいのかを整理します。
最初に整理したいこと
- 学歴フィルターを気にし続けるより、実際の採用実績を応募先選びに使う
- 理系では大学名だけでなく、学部・研究科・専攻・採用職種まで見る
- 採用実績には偏りがあるため、「どこからどの職種へ採用されているか」を確認する
- 応募先は「挑戦候補・中心候補・幅を広げる候補」を組み合わせて考える
学歴フィルターより、採用実績を判断材料にする
学歴フィルターについて考えるとき、企業がどこで線を引いているのかを細かく推測する必要はありません。応募先を考えるうえで実際に使いやすいのは、その企業の採用実績です。
その企業が、これまでどの大学から学生を採用しているのか。採用実績校を見れば、自分の大学から入社した人がいるのか、自分と近い大学からどの程度採用されているのかを確認できます。
もちろん、学校歴だけで採用が決まるわけではありません。専攻、募集職種、選考内容など、見るべきものはほかにもあります。それでも、学歴フィルターという言葉だけを見て応募を諦めるより、実際の採用実績を応募先選びの目印として使うほうが、その後の行動につながります。
採用実績校は、応募先を考えるための目印になる
採用実績校は、企業の採用ページや就職情報、大学のキャリアセンターなどで確認できることがあります。
まず見たいのは、自分の大学があるかどうかです。過去に採用されているのであれば、その企業を応募候補として考える材料になります。
自分の大学名が見当たらない場合も、そこで候補から外す必要はありません。同じ地域の大学、入試難易度が近い大学、同じ系統の理工系大学などから採用されているかを見ると、企業がどのような大学から学生を採ってきたのかが見えてきます。
有名企業だけを見て「自分には難しい」と判断するのではなく、採用実績をたどっていくと、それまで知らなかった企業が候補に入ってくることもあります。学歴を理由に選択肢を狭めるのではなく、採用実績を使って候補企業の範囲を見直していきましょう。
大学名だけで判断しない|採用実績の見方
理系学生が採用実績を見るときは、大学名だけでは情報が足りないことがあります。同じ大学から何人も採用されていても、自分と近い分野の学生が技術職として採用されているとは限らないからです。確認できる範囲で、中身まで見ていきます。
① 自分の大学と近い大学を見る
最初は、自分の大学が採用実績校にあるかを確認します。載っていない場合は、同じ地域の大学、入試難易度が近い大学、同じ系統の理工系大学なども見てみましょう。
一校だけでなく採用大学全体を眺めると、特定の大学にかなり偏っているのか、幅広い大学から採用しているのかも見えてきます。偏差値や大学名だけで機械的に企業を分けるのではなく、応募候補として残すか、もう少し情報を集めるかを考える材料にします。
② 学部・研究科・専攻まで確認する
理系の場合は、大学名だけでなく、どの学部や研究科から採用されているのかも確認したいところです。同じ大学でも、工学部や理工系研究科から技術職へ入っている場合と、別の学部から事務系職種へ入っている場合とでは、自分にとっての意味が違います。
さらに情報が分かるなら、学部卒と大学院卒のどちらが多いか、どの学科・専攻から採用されているか、自分と近い専門分野の学生がいるかまで見てみてください。研究開発職などでは、企業によって大学院生を中心に採用していたり、募集対象となる専門分野が示されていたりすることもあります。
「自分の大学名がある」というところで止めず、自分の所属や専門に近い学生が採用されているかまで見ると、採用実績の意味をつかみやすくなります。
③ どの職種へ採用されているかを見る
理系では、採用された職種も確認できると判断しやすくなります。企業全体として自分の大学から採用実績があっても、研究・開発・設計・生産技術・品質保証・技術営業・事務系職種のどこへ入っているかで意味は変わってきます。
自分が設計職を考えているなら、「その大学から会社に入った人がいるか」だけでなく、「技術系、できれば自分が考えている職種へ進んだ人がいるか」まで分かると参考になります。企業の採用ページだけでは職種別の実績まで分からないこともあるので、その場合は大学や学科側の就職実績、研究室の先輩の進路なども合わせて見てみるとよいでしょう。
④ 採用実績の偏りを見る
採用実績は、大学名が載っているかだけでなく、どこに偏っているかも見ておくと役立ちます。特定の学部・研究科からの採用が多い、学部卒より大学院卒が中心になっている、特定分野の専攻から多く採用されている、同じ大学でも技術系ではなく事務系の採用が多い、特定の研究室から継続して入社している——といった傾向は珍しくありません。
自分の大学名が載っていても、その実績が自分とは離れた分野に偏っていれば、大学名だけを見たときとは判断が変わってきます。反対に、自分と近い学部・専攻から希望する技術職への採用が続いているなら、応募先を考えるうえで心強い材料になります。
可能であれば、1年分だけでなく複数年度の実績も見ておきましょう。継続して採用されているのか、一度だけの実績なのかによっても、見え方は変わってきます。
企業側と大学側、両方から採用実績を確認する
採用実績は、企業側の情報だけでは分からないことがあります。そこで、企業と大学の両方向から調べていきます。
企業側では、採用ページ、募集要項、就職情報、採用実績校、職種別の募集情報などを確認します。採用人数や採用実績など、企業を見るときにどの情報を確認すればよいか迷う場合は、就職四季報の見方も参考になります。
一方、大学側では、キャリアセンターの就職実績、学部・学科の就職先一覧、研究室の進路、先輩の就職先などを確認できます。
企業側を見ると「どの大学から採っているか」が分かり、大学側を見ると「自分の大学からどこへ行っているか」が分かります。特に理系では、学科や研究室単位で見ることで、企業サイトだけでは分からなかったつながりが見つかることもあります。両方から確認することで、企業名の一覧として眺めるだけでなく、自分の専門や希望職種との接点まで考えやすくなるはずです。
採用実績をもとに、応募先を3タイプに分ける
採用実績をある程度確認したら、応募候補を整理します。ここでは、挑戦候補・中心候補・幅を広げる候補の3つに分けて考えます。
この3分類は、企業の難易度を高・中・低に分けるものではありません。挑戦候補だから必ず難しいわけでも、幅を広げる候補だから内定を取りやすいわけでもなく、応募先が一つの方向へ偏らないよう、それぞれ違う役割を持たせるための分類です。
挑戦候補|採用実績だけで諦めず、行きたい企業を残す
挑戦候補は、採用実績を見ると少し距離を感じても、志望度が高く、自分の専門や希望職種との接点がある企業です。
採用実績校に自分の大学が少ないからといって、本当に入りたい企業まで最初から外す必要はありません。大手や人気企業だからといって、採用実績だけから難易度を決めることはできないからです。採用人数が多い場合もありますし、自分の専門と募集職種との接点が強いこともあります。
本当に行きたい企業であれば、「なぜこの会社なのか」「なぜこの職種なのか」「入社したら何をしたいのか」を、自分の言葉で考えやすくなるという利点もあります。挑戦候補は単に「受かりにくそうな企業」ではなく、採用実績だけで可能性を狭めず、行きたい理由がある企業を残しておく枠だと考えてください。
中心候補|採用実績と職種の接点を確認しやすい企業
中心候補は、自分の大学や近い大学、学部・研究科・専攻などから採用実績があり、希望する職種との接点も確認しやすい企業です。自大学から技術系の採用実績がある、自分と近い専攻の学生が入社している、学科や研究室の先輩が働いている、自分が希望する職種を募集している——といった情報が重なる企業がこれにあたります。
中心候補だから「簡単に受かる」という意味ではありません。ただ、なぜその企業を受けるのか、自分の専門や経験が仕事にどうつながるのかを考える材料が多いぶん、応募する根拠を作りやすい企業だといえます。就活全体では、この中心候補をある程度持っておくことで、知名度の高い企業だけに応募先が偏りにくくなります。
幅を広げる候補|知らなかった企業まで選択肢を増やす
採用実績を調べていると、それまで知らなかった企業が見つかることがあります。自分の大学や近い大学から継続して採用している、自分の専攻と仕事の接点がある、調べてみると興味を持てる事業や職種がある——こうした企業を「幅を広げる候補」として考えます。
就活全体の中では、いわゆる滑り止めに近い役割を持つ場合もあります。ただし、志望順位が低い企業だから受かりやすいという意味ではない点には注意が必要です。選考では「なぜ当社なのか」を聞かれることがあり、仕事内容をほとんど調べず、別の企業へ行くことしか考えていなければ、志望理由も作りにくくなってしまいます。
幅を広げることと、興味のない企業を大量に受けることは別の話です。候補へ入れるなら、「内定をもらったら、本当に入社を検討できるか」というところまでは考えておきたいところです。最初は知らなかった企業でも、調べるうちに志望度が上がることはあります。反対に、採用実績が自分に合っていても、仕事内容を調べて違うと感じれば候補から外して構いません。幅を広げる候補は「簡単な企業を探す枠」ではなく、企業名だけでは見つけられなかった選択肢を増やす枠として使いましょう。
3つの候補を組み合わせて応募先を作る
3つに分ける目的は、どれか一つだけを受けることではありません。
挑戦候補だけにすると、本当に行きたい企業へ集中できる一方で、応募先の幅は狭くなります。中心候補だけにすると、採用実績を確認しやすい企業は増えますが、行きたい企業への挑戦を自分から減らしてしまうかもしれません。幅を広げる候補を大量に増やしても、一社ごとの仕事内容や志望理由を十分に考えられなくなれば、選考対策はかえって難しくなります。
だからこそ、挑戦候補にも応募する、中心候補を就活の軸にする、採用実績から知らなかった企業も見つける、という組み合わせで考えます。
何社ずつ持つかに決まった正解はなく、志望業界や募集時期によっても変わります。大切なのは、採用実績を見て企業を「受ける・諦める」の二択にするのではなく、就活全体の中でどのような位置づけで受けるのかを考えることです。
学歴が気になるときに、最初に確認すること
学歴フィルターが気になって企業選びが止まっているなら、まず次の順番で確認してみてください。
- 自分の大学・学部・学科の就職実績を見る
- 興味のある企業の採用実績校を見る
- 学部・研究科・専攻の偏りを確認する
- 自分が希望する職種への採用実績や募集条件を見る
- 応募候補を「挑戦候補・中心候補・幅を広げる候補」に分ける
最初から応募企業をすべて決める必要はありません。採用実績を調べながら、「この企業は残しておこう」「この企業はもう少し仕事内容を調べよう」と候補を作っていきましょう。学歴という今から変えられない条件を考え続けるより、確認できる情報を使って応募先を整理するほうが、次に何をすればよいかが見えやすくなります。
まとめ|採用実績を使って応募先を組み立てる
就活では、学校歴が選考に影響する場面があります。ただ、学歴フィルターという言葉だけを見て「自分の大学では無理」と判断すると、本来なら検討できた企業まで候補から外してしまうことがあります。
大学名だけで終わらせず、自分の学部・専攻や希望職種との接点まで確認する。その情報をもとに、行きたい企業を残す「挑戦候補」、採用実績や職種との接点を確認しやすい「中心候補」、知らなかった企業まで選択肢を増やす「幅を広げる候補」を組み合わせる。この3つは難易度を順番に並べたものではなく、応募先を一方向へ偏らせないための考え方です。
学歴は今から変えられませんが、どの企業を調べ、どこへ応募するかは変えられます。学歴フィルターを気にして企業を減らすのではなく、採用実績を目印にしながら、自分の専門や希望職種とつながる企業を探していく。それが、学歴に振り回されず応募先を考える現実的な方法です。
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