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メーカーを調べていると、知名度の高い企業は見つかっても、専門分野で強みを持つBtoBメーカーは見落としがちです。
一般消費者にはあまり知られていなくても、特定の製品で高い世界シェアを持ち、利益を生み出している企業があります。
この記事では、SCREENホールディングス、東京精密、浜松ホトニクス、FUJI、堀場製作所の5社を比較します。
各社の技術的な強み、営業利益率、理系の仕事内容、就職先として確認したい点を紹介します。
注目したい隠れ優良メーカー5社を比較
まずは、5社の主な技術と収益性を比較します。営業利益率は、売上高に対して本業の利益がどのくらいあるかを示す数字です。売上高100円に対して営業利益が10円なら、営業利益率は10%になります。
| 企業 | 主な技術・製品 | 直近通期の連結営業利益率 |
|---|---|---|
| SCREENホールディングス | 半導体洗浄装置 | 20.2% |
| 東京精密 | 半導体製造装置・精密測定機器 | 20.2% |
| 浜松ホトニクス | 光センサ・光源・光計測装置 | 7.6% |
| FUJI | 電子部品実装ロボット | 16.2% |
| 堀場製作所 | 分析・計測機器 | 15.9% |
※2026年10月20日時点で公表されている直近通期の連結決算を使用。浜松ホトニクスは2025年9月期、堀場製作所は2025年12月期、残り3社は2026年3月期です。営業利益率は小数第1位に丸めています。企業は五十音順で、順位ではありません。
5社の営業利益率は7.6〜20.2%と差がありますが、いずれも専門分野で競争力を持つメーカーです。
半導体の洗浄、精密加工・測定、光の検出、電子部品の実装、分析・計測など、得意とする技術も異なります。
営業利益率の高さだけで企業の優劣が決まるわけではありません。技術的な強みと、過去数年間の業績の変化も合わせて見ていきましょう。
5社の技術的な強みと仕事内容
SCREENホールディングス|半導体洗浄装置で世界トップシェア
SCREENホールディングスは、半導体製造装置などを展開する企業グループです。
特に強みを持つのが、半導体の製造工程で使われるウェーハ洗浄装置です。
技術的な強み
半導体は非常に微細な構造で作られるため、わずかな汚れや不要な物質が製品の品質や歩留まりに影響します。
洗浄は目立たない工程ですが、半導体を安定して製造するために欠かせません。
SCREENグループは、枚葉式洗浄装置、バッチ式洗浄装置、スピンスクラバーという3種類の半導体洗浄装置で、いずれも世界シェア1位と公表しています。
※世界シェアは装置の種類ごとの評価であり、半導体製造装置市場全体で世界1位という意味ではありません。
高度な洗浄技術に加え、顧客の製造条件に合わせた装置開発や、安定して稼働させる技術も競争力につながっています。
収益性と注意点
2026年3月期の連結業績は、売上高約6,057億円、営業利益約1,225億円、営業利益率20.2%でした。
前年の営業利益率21.7%から下がり、売上高は前年比3.1%減、営業利益は9.7%減でした。高い収益性を保ちながらも、減収減益の年だったことになります。
半導体関連の設備投資は、顧客の投資計画や市場環境によって増減するため、今後の受注や業績の動きも見ておきたいところです。
仕事内容と配属
SCREENグループでは、装置の研究開発、機械・電気設計、ソフトウェア開発、プロセス開発、生産技術、技術サービスなどの職種があります。
機械、電気電子、情報、化学、材料、物理などの学生が、専門性を生かせる可能性があります。
ただし、SCREENグループには半導体製造装置以外にも、グラフィック関連機器、ディスプレー製造装置、プリント基板関連機器などの事業があります。
グループ会社や担当事業によって仕事内容が異なり、技術職の勤務地も京都、滋賀などが中心です。
半導体製造装置の開発を希望する場合は、その事業を担うSCREENセミコンダクターソリューションズなど、どの会社のどの職種を希望するかが応募時のポイントになります。
公式情報:財務ハイライト / SCREENの事業と強み / 新卒採用情報
東京精密|半導体製造装置と精密測定機器の両方に強い
東京精密は、半導体製造装置と精密測定機器を手がけるメーカーです。
半導体分野ではプロービングマシン、ダイシングマシン、研削装置などを、精密測定分野では三次元座標測定機や表面粗さ測定機などを展開しています。
技術的な強み
東京精密の特徴は、半導体を製造する装置と、工業製品を高精度に測る機器の両方を持っていることです。
例えば、プロービングマシンは、ウェーハ上の半導体チップの電気的な特性を検査するため、チップを正確な位置へ移動させる装置です。
微細な半導体を検査するには、高精度な位置決めと安定した動作が求められます。
同社は、半導体のウェーハ製造、テスト、後工程などの装置で、世界トップレベルのシェアを持つと公表しています。
こうした半導体製造装置の技術に加え、精密測定機器で培った計測技術も持っています。
収益性と注意点
2026年3月期の連結業績は、売上高約1,668億円、営業利益約337億円、営業利益率20.2%でした。
営業利益率は2024年3月期から2026年3月期にかけて、18.8%、19.7%、20.2%と推移しています。
高い収益性を保っていますが、半導体製造装置事業は半導体メーカーの設備投資に左右されます。精密測定機器事業も含め、事業ごとの需要や利益の動きも見ておきたいところです。
仕事内容と配属
新卒採用では、機械設計、電気設計、ソフトウェア開発、アプリケーションエンジニア、フィールドエンジニアなどの職種があります。
勤務地は事業によって異なります。
採用情報では、半導体製造装置の技術職は八王子・飯能、精密測定機器の技術職は土浦などが勤務地として案内されています。
半導体装置を開発したいのか、精密測定機器に携わりたいのかによって、希望する職種や勤務地が変わります。
浜松ホトニクス|光電子増倍管で世界シェア約90%
浜松ホトニクスは、光を検出したり測定したりする技術に強みを持つメーカーです。
光電子増倍管、光半導体素子、光源、カメラ、光計測装置などを手がけ、医療、ライフサイエンス、産業機器、半導体などの分野に製品を提供しています。
技術的な強み
代表製品の光電子増倍管は、微弱な光を高感度で検出するセンサです。
同社の公式サイトによると、光電子増倍管は世界シェア約90%を持っています。
高感度な光検出技術は、医療診断装置や研究設備など、光を正確に測る必要がある分野で使われています。
浜松ホトニクスは光センサだけでなく、光源や計測装置まで開発しており、長年蓄積してきた光技術をさまざまな製品へ応用しています。
収益性と注意点
2025年9月期の連結業績は、売上高約2,121億円、営業利益約162億円、営業利益率7.6%でした。
営業利益率は2023年9月期の25.6%、2024年9月期の15.7%と比べて下がっていますが、2025年9月期も約162億円の営業利益を確保しています。過去3期とも営業黒字です。
光電子増倍管で世界シェア約90%を持つ技術的な競争力があり、今後の収益性の回復にも注目したい企業です。
仕事内容と配属
採用サイトでは、研究開発、製品設計、生産技術開発、品質保証などの技術系職種が紹介されています。
光学、物理、電子、材料などに関心がある学生は、専門性を生かせる可能性があります。
ただし、同じ光技術でも、医療向けの検出器と半導体関連の計測装置では仕事内容が異なります。
また、新卒採用には総合コースと職種別コースがあり、配属方法にも違いがあります。
希望する製品や職種が決まっている場合は、応募コースごとの募集内容が判断材料になります。
公式情報:財務・業績情報 / 浜松ホトニクス早わかり / 技術系職種紹介
FUJI|世界の電子機器生産を支える実装ロボット
株式会社FUJIは、愛知県知立市に本社を置く電子部品実装ロボットと工作機械のメーカーです。
主力製品は、電子基板に電子部品を高速・高精度で取り付ける電子部品実装ロボットです。
技術的な強み
FUJIは、電子部品実装ロボットの分野で世界トップクラスのシェアを持っています。
同社の公式サイトによると、世界で使用されるスマートフォンの約2台に1台は、その製造工程にFUJIの電子部品実装ロボットが関わっています。
電子基板はスマートフォンだけでなく、パソコン、家電、AIサーバー、自動車など、多くの電子機器に使われています。
電子部品を高速かつ正確に取り付けるには、機械設計、制御、画像処理、ソフトウェアなどの技術が必要です。
FUJIはこうした技術を組み合わせ、電子機器の生産ラインを自動化する装置を開発しています。
収益性と注意点
2026年3月期の連結業績は、売上高約1,806億円、営業利益約293億円、営業利益率16.2%でした。
前年の営業利益率10.8%から改善し、営業利益は前年の約2.1倍となりました。
高いシェアと収益性を持つ一方、電子機器メーカーの設備投資が減少すると、装置の需要にも影響します。
今回の業績改善が今後も続くかどうかは、受注状況や主力事業の動きから見ていく必要があります。
仕事内容と配属
採用サイトでは、研究開発、機械設計、電気回路設計、ソフトウェア設計、サービスエンジニア、技術営業などが紹介されています。
例えば、社内で製品開発を担当する技術者と、顧客の工場を訪問するサービスエンジニアでは、仕事内容や働き方が異なります。
勤務地は本社のほかに国内外の事業所があるため、希望する職種と初期配属の可能性もあわせて調べておくと安心です。
堀場製作所|分析・計測技術と半導体向け流量制御に強い
堀場製作所は、分析・計測機器を中心に事業を展開するメーカーです。
自動車関連の計測、環境分析、医療、半導体、科学分野などに製品を提供しています。
技術的な強み
堀場製作所の特徴は、さまざまな分析・計測技術を持ち、複数の産業の研究開発や生産工程に関わっていることです。
具体的な強みの一つが、グループ会社である堀場エステックのマスフローコントローラーです。
マスフローコントローラーは、半導体の製造工程などでガスの流量を高精度に制御する装置です。
堀場エステックの公式採用サイトによると、この製品は世界市場で約60%のシェアを持っています。
※2025年12月末時点の同社推定値です。
半導体を安定して製造するには、ガスを適切な量で供給する技術が必要です。
堀場エステックは、この分野で長年蓄積してきた技術を競争力としています。
収益性と注意点
2025年12月期の連結業績は、売上高約3,331億円、営業利益約530億円、営業利益率15.9%でした。
営業利益は前年から9.7%増加しています。
連結全体では高い収益性を持っていますが、事業別に見ると状況は異なります。
2025年12月期はエネルギー・環境分野や先端材料・半導体分野が業績を支える一方、バイオ・ヘルスケア分野は営業損失となっています。
複数の事業を持つ企業なので、どの分野が利益を生み出しているかも参考になります。
仕事内容と配属
HORIBAグループでは、研究開発、設計開発、ソフトウェア開発、生産技術、品質管理などの職種があります。
機械、電気電子、情報、物理、化学などの学生が、専門性を生かせる可能性があります。
ただし、自動車関連の計測と半導体関連の流量制御では、扱う技術や顧客が異なります。
堀場製作所だけでなく、堀場エステックなどのグループ会社も含めて、希望する仕事内容と応募先を調べるとよいでしょう。
公式情報:決算短信 / 堀場エステックの事業紹介 / 新卒採用情報
メーカーを調べるときに見たい3つのポイント
今回の5社を見ると、メーカーを調べるときは、売上高や知名度以外にも見ておきたい点があります。
特に注目したいのは、次の3つです。
1.専門分野で選ばれている理由があるか
浜松ホトニクスの光電子増倍管、堀場エステックのマスフローコントローラー、SCREENの半導体洗浄装置などは、専門分野で高いシェアを持つ製品です。
こうした製品は、顧客の製造条件や品質要求に応えるため、高度な技術や長年のノウハウが必要になります。
企業を調べるときは、製品のシェアだけでなく、なぜ顧客から選ばれているのかまで分かると、競争力を判断しやすくなります。
2.利益を継続して生み出せているか
営業利益率が高いほど、売上に対して本業の利益が残っていることを示します。
ただし、業種や事業内容によって利益率の水準は異なるため、数字の大きさだけで企業を比べることはできません。
同じ会社の過去数年間の推移や、主力事業の業績も合わせて調べると、現在の収益性を判断しやすくなります。
特に設備投資の影響を受けやすいメーカーでは、単年度の利益率だけで判断しない方がよいでしょう。
3.自分の希望する仕事に就ける可能性があるか
企業として競争力があっても、自分の希望する仕事に就けるとは限りません。
研究開発に携わりたいのか、装置を設計したいのか、工場の生産技術を担当したいのかによって、同じメーカーでも適した職種は変わります。
また、本社所在地と技術職の勤務地が違う企業もあります。
企業の強さと自分に合う仕事かどうかは、分けて考える必要があります。
興味のあるメーカーが見つかったら詳しく調べる
今回の5社の中に興味のある企業があれば、次は実際に応募するかどうかを考えていきます。
企業の公式サイトや採用ページで、事業内容に加えて、仕事内容、配属、勤務地、待遇などを調べましょう。
【理系の企業研究】では、会社・事業、仕事内容・配属、待遇・働く環境という3つの項目に分けて、調べ方と判断のポイントを解説しています。
口コミや選考体験記も参考にする
公式情報に加え、実際に働いた人の口コミや、選考を受けた学生の体験記も参考になります。
例えば、仕事の進め方や職場の雰囲気、過去の面接で聞かれた質問などを調べたいときに役立ちます。
「就活会議」では、企業の口コミのほか、先輩のESや面接体験記などを確認できます。
掲載情報の量は企業によって異なり、口コミは個人の経験に基づくため、部署や時期によって状況が違うことがあります。
公式情報と照らし合わせながら、判断材料の一つとして使いましょう。
就活口コミサービス「就活会議」希望するメーカーが見つからなかったとき
今回の5社に興味を持てる企業がなかった場合は、候補を増やすところから始めます。
興味のある技術や製品から候補を増やす
例えば、半導体に興味があるなら、半導体メーカーだけでなく、製造装置、検査装置、材料、部品などへ範囲を広げる方法があります。
自動車なら、完成車メーカーのほかに、センサ、精密部品、制御機器、製造設備なども候補になります。
どのような分野があるのか知りたい場合は、【理系メーカー業界マップ】を参考にしてください。
また、【理系におすすめの企業30社】では、技術分野別にメーカーを紹介しています。
大学の求人やキャリアセンターも利用しながら、興味を持てる企業を増やしていきましょう。
自分で探しても候補が足りない場合
BtoBメーカーは知名度が高くないため、希望する地域や職種で絞ると、自分では候補を見つけにくいことがあります。
探しても応募したい会社が十分に見つからない場合は、就活エージェントから企業を紹介してもらう方法もあります。
就活エージェントは、取引のある企業の求人から、学生の希望に合う企業を提案するサービスです。
紹介できる企業はエージェントによって異なるため、今回紹介した5社の求人があるとは限りません。
利用する場合は、最初に希望する地域や職種の求人があるかを確かめると、自分に必要なサービスか判断しやすくなります。
自分で企業を探す方法と、エージェントから企業紹介を受ける方法は、【企業が見つからない理系学生へ】で詳しく説明しています。
まとめ|企業の強さと自分に合う仕事の両方を見る
今回の5社は、それぞれ異なる技術分野で競争力を持つメーカーです。
気になる企業があれば、その会社の主力製品や収益性に加え、自分が携われる仕事内容や配属条件を調べてみましょう。
5社の中に興味のある企業がなければ、同じ見方で別のメーカーへ候補を広げることもできます。

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